2010年4月30日金曜日

幕末への関心

この項は、上記に4月30日となっているが、実はいま、5月24日で、ハノイに居る。最近、イギリス人外交官・通訳アーネスト・サトウの「一外交官が見た明治維新 上下」とか、勝海舟の「氷川清話」とか福沢諭吉の「福翁自伝」とか買って読み始めた。なぜか、急に江戸時代の資本性社会というか、ブルジュア社会の成熟度がどうであったかが、知りたくなったのである。江戸時代における封建制の崩壊から資本制への移行のダイナミズムをね。それに加え何故日本は英・仏など列強によって植民地化されなかったのか。大政奉還を迎えた1867年秋から江戸城の明け渡しの1968年(慶応4年・明治元年)が年表では、歴史の境目になるわけだが、その前後の市民の胎動と革命への情熱から、戊辰戦争などの内戦などまで、変化する時代のうねりにある面白さは尽きない。僕は天の邪鬼だから、流行の坂本龍馬とかにゃあ、ほとんど関心がないんだ。国民がこぞって関心するモノにはだいたい落とし穴があるもんだしね、そして、その評価のほどの割には実はつまらないモノも多かったというのが、僕の見方だね。いやむしろ生き方のセンスと言った方が良いかもしれないな。いま、上記の「一外交官が見た明治維新」の下巻を読んでいる。心から傑作だと快哉できる代物だ。例えで言うと、ジョン・リードの「世界を震撼させた10日間」と我がチェの「ゲバラ日記」と同列に並べたい冒険譚である。「世界・・・」は、ロシア革命に遭遇したアメリカのジャーナリストのリードの日記であり、ドキュメントだ。

ボルシェビキ、メンシェビキ、僕好みの社会革命党(SL)とかの盛衰、またレーニン、トロツキーらスーパースターたちの怒濤の進撃と、錯綜する膨大な闘う民衆たち。時空を超えて革命の途方もないエネルギーを現代でも体感できる良本だ。ご覧になった方も居られると思う。映画「レッズ」の原作でもあるのだ。ウオーレン・ベイティーの製作・監督・脚本・主演で、1981年のアカデミー賞最優秀監督賞を取った傑作だ。ジャック・ニコルソンやダイアン・キートンもキャラを添えている。ハリウッドの懐の深さを思い知らされるね。何せ、アメリカの娯楽の大本営がロシア革命の意義を思いっきり歌い上げてるんだからね。

「ゲバラ日記」は、彼がキューバを去り、新たなる革命戦争の旅に出た後、アフリカから、ボリビアに転戦した時の闘いながらの日記そのままだ。喘息持ちの彼が胸をヒューヒューさせ、息絶え絶えながら、世界の変革を夢みて毎日の戦闘に挑む姿は凄まじく、僕らを駆り立て魂を奮わす浪漫が溢れ出ている。2000年に「トラフィック」でアカデミー賞最優秀監督賞を取ったスチーブン・ソダーバーグ監督2008年製作の「チェ28才の革命」「38才別れの手紙」の二連作の原作の一つとしても有名な日記なのである。

このふたつの有名な作品に比べれば勿論地味な印象でしょうが、長州や薩摩とイギリスなど多国籍軍との戦闘あり、幕府とや不良素浪人たちとのアクション有りで、これも息をつかせぬ「映画向き」な傑作なのだ。桂小五郎、西郷吉之助、勝海舟、徳川慶喜、伊藤博文、高杉晋作、榎本武揚、大隈重信、明治天皇、坂本龍馬などまさに本人がリアルに登場し、アーネスト・サトウと会話を交わし、その上で厳しく論評されているから面白さは尽きない(吉田松陰と福沢諭吉はたぶん出てこないが・・)。それだけでなく、僕のこの本の読書テーマである、ブルジュア資本主義の成熟度の様子の描写も飽きさせない。1850年代、勿論江戸末期だが、全国の大都市の街の一角には本屋があり、公立学校があり、通信網も整備され、地方の港には各藩が大型軍用汽船も所有していた。現在とは大分違うだろうが特許制度もあった。越前福井辺りでは、道路にチリ一つ出ないように各家庭で玄関先にほうきと水を湛えた大桶を用意して毎日道を綺麗にしていた、とか。巨大商社も勃興しており、外国とバリバリ通商を開始していたんだ、とか。面白そうでしょう?
上記でこの本と「世界を震撼させた10日間」と「チェのゲリラ日記」を同列に並べたけれど、趣がだいぶ違うが正に体験を綴った「大佛次郎の敗戦日記」も時代の激変を見ることができる秀作だ。思い出したので加えておこう。

いま、ベトナムで発行する書籍の原稿書きに時間がとられて、どうも、このブログに向かう時間がもてず、というか書き出す心の勢いが減退しており、これには往生している。5月分も一本ぐらいは、近々まとめるとしよう。

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