2011年8月27日土曜日

僕らのジョブス / 「新シャーロック・ホームズ」

20年以上、MACだけを使って来た僕にとって、アップルのCEOのスティーブ・ジョブスは最も信頼する革命家であり、エクセレントな企業家である。その彼が、ガンが進行しCEOを辞任するという。去年の冬、iPADのプレゼンテーションに出てきたやせ細ってしまっていた彼を見て、不安と心配が全世界に広がっていた。ジョブスもやっぱり人間なんだねと。今年の1月のiPAD2のプレゼンでは、病を押して登場していた。痛々しかった。だから、誰も言わないけれど、「長くはない」と暗黙で悲しみをこらえてきた。

未来が見える人って居るんだろうと思う。僕ら凡人は現在の大きなトレンドを現在の価値観や視点から眺めてしまう。が、彼らはどうも時空を軽々と超えた視点を生まれつき持っているようだ。だから、天才的革命家は予言者などと、怪しげに語られることもある。マルクスがそうだし、毛沢東も、ゲバラもカストロもそうだ。そして、僕らのジョブスもそうなのだ。でも、前の3人は貧困と暴虐の廃止ないしは止揚を命がけの目標にしていたわけだが、現代の革命家は、ITの分野のみならず人間の生活全体のデザイニングの根底からの止揚を目論んだのだ。

秘密主義とつぎはぎで固めたOSウインドーズの醜悪なシステムと、何時も鮮烈で明るく楽しいアップルの違い。パソコンの未来を何時も自分一人で全世界に提案してきたジョブスが、まだ55才だというのに死の淵にいる。いま、アップル社内は天才革命家の代わりを集団指導体制で乗り切る準備をしているらしい。だけれど、もう、その発想が革命的でないのだ。ジョブス的ではないのさ。これじゃあ、今後の時代の波に飲み込まれることを既に表明したのと同じさ。

ジョブスが遺言で記述するかどうか解らないが、アップルはジョブスの死で、終末を迎えると割り切るほうが良い。確かに企業は社会的な存在だから継続は何時もテーマさ。ホンダもソニーも天才的カリスマが亡くなって以降も企業は存続し、よい商品を出してきた事は事実だ。僕もそれは解る。でも、世界に冠たる「もの作りという環境」の中で、革命家が育てた「子供たち」のような若い精鋭エンジニアが幾重にも幾重にも何波にもわたって新たな才気を発揮してこれた日本。片やエンジニアの企業移動と中途採用が激しいアメリカにあって、ジョブスの死以降、アップル社のアップルらしい承継は極めて困難だろうと思わざるを得ない。大好きなアップルだから、敢えて言っておく。一旦終止符を打ったほうがいい。

■NHKBSを寝転んでみていたらシリーズらしい「シャーロック・ホームズ」が始まった。第一回とある。設定が現代で、携帯やインターネットにまみれた犯罪に対峙するホームス。このBBC製作の現代版は、本当に斬新な展開で覆われている。もの凄いのはホームズの目と頭脳がファイリングそのもので、見るモノ、会う人総てをファイリング宜しく瞬時に総ての現象の要素を統合処理して、内面とかウラを暴き出す一種のモンスターとしてキャラクター設定されている。科白も異常に速い。当てレコの声優泣かせの展開となっている。これは必見だよ。何曜日であったか忘れたが、海外テレビドラマの質の高さを改めて僕らに知らしめる作品シリーズだ。http://www9.nhk.or.jp/kaigai/sherlock/

2011年8月25日木曜日

佐賀県知事の面 / 悲しげな死

■ 去年あたりニュースで古川とかいう佐賀県知事の顔を初めて観た。そのときははっきり言って驚いたね。いかつい顔だけど、トッチャン坊やのようなわがまま風情、紳助が昔していたようなヤンキー眼鏡。これが佐賀県民が選んだ選良なのか。おいおい、ほんとかあ。即、佐賀県民の知的なレベルを疑ったね。どうして、奴がトップ当選なんだよ。他の候補者は、もっひどかったということなんだろうな。チンピラばっかりで、その相対的評価で、奴が知事になったのだろう、と考えると佐賀県に人材居ないのかあと寂しくなる。この知事さん、お父さんは九州電力社員だし、態度も予定調和で「原発再開」を目論んで居たんだろうし、誰が見ても彼の面(つら)にそのように書いてある。全国の普通の大人は、あの悪人顔には投票しないけどなあ。周囲を見渡しても、役者の顔を思い起こしても、本当に悪いと言う面は、意外に少ないモノだ。あの「東映の悪徳商会」の八名さんだって、近くで見れば愛嬌さえある。本当に悪そうで有名な俳優金子信雄さんと40年前大泉の撮影所ですれ違ったことが在ったが、凜とした姿で格調も漂っていたぜ。「悪」はもちろん演技なのさ。でもかの知事さんは、演技派に見えない。「地」なんじゃあないの。

■ 昨日、ピンポンとなったので、インターフォンにでたら、地元埼玉の警官だという。あわてて、Tシャツに頭急いで通して、玄関のドアを開けた。隣人について聞きたいという。「隣人?」ここの左右は両方とも無人ですよ、と即応した。警官と一緒に居た自治会会長という老人が「死んでるんですよ」と、僕と警官のやりとりにちゃちゃ入れるようにヒソヒソ声で言ってきた。だって、無人のはずなのに。この老人は鼻にハンカチを強く押し当てていて、ひくひく鼻を鳴らしている。そう言えば「臭い」。人間の死体の腐臭の臭いだ。いま、鑑識が作業中らしい。そういえば、最近、僕のトイレの臭いが「窓を開けると臭く、閉じていると臭わない」矛盾に気がつきつつあり、すぐこれで合点した。中年の女性だという。でも、僕2年近くいるけれど、まったく無人だと思って居た。ベランダには人気(ひとけ)がないし、干し物一つで出たためしもないからだ。彼女の部屋は僕の家の「猫室」に隣接しているので、もともと、僕の方からは物音を聞きにくい環境なんだけれども。人気を消してひっそりと何年か、お一人の生活をしてきた中年の女性。彼女は何を待っていたのだろう。

どのような出自の人なのだろう。どのような経緯でこのマンションに来て、何も語らず密やかに死を選んだのだろうか。ニュースで見ていた孤独死が、何処にでも在ると言うことだ。実はこのマンションで本年2件目だとハンカチを鼻から外さずにその老人が言った。

2011年8月24日水曜日

紳助のうそ / 南方熊楠のねこ

島田紳助は昨今の彼の勢いが本来から持っていた多弁な才能を猛烈に掘り起こして、まさに「ドヤ顔」そのものになっていた。彼をよく知らないがヤンキーからのし上がったらしく、80年代の漫才ブームを構成した一人であった。90年代には田原総一朗さんのサンデープロジェクトのサブ司会もやっており、僕もなかなかの才人だと思って居た。ひょっとするといつかは、タレントの頂点に近く行くか、道を変えて政治の道に入るかも知れないとそのあたりでは、正直そう思っていた。最近の「ヘキサゴン」、「行列のできる法律相談」などでは、ともかく、プロデュースの才能を見せてくれた。

その才能ある紳助が、昨日の会見では嘘に満ちた会見をしていた。こんな事長く書くつもりないが、このブログの3月に「記者会見の日本語」を書きかけて、中断したママなので、その「加筆」のつもりで、書いているだけだ。会見も自分でプロデュース&ディレクションしてしまったので、(会見時に紳助の隣にいた吉本の社長があまりにも無能そうだから、仕方ないのかもしれないが・・)見え見えの嘘が滲んで見えた。たぶん、「一番厳しい処罰は引退だ」と言っているが、本当は吉本に解雇を通告されたのだと思う。

Aさんとは、ヤクザで有名な元プロボクサーの渡邊某であり、「十数年前に困ったことがあって、Aさんの知人のBさんにたすけられ、解決した」といっているが、恐喝かかなりの暴力事件を紳助が起こしており、その相手をヤクザBが「暴力的にかつ金銭的にそいつを黙らせた」と言うことだろう。紳助は、そのとき1000万円はらったか、もっと何倍もAとBに支払ったか解らないけれど、元チンピラ紳助と違ってヤクザは「しつこい」一度世話したら、一生付きまとい「せびる」。

昨夜、逃げるようにして芸能界を去ることにしたのは、今後の紳助の報道価値を下げるためにしたのだろう。おそらく、紳助はBとその組織に数億円の請求というか、恐喝されている立場に置かれている可能性が高い。吉本サイドはそれをつかんでいるんだと思う。さらに各テレビ局、CMクライアントから、近々数億円〜十数億円の損害賠償請求も上がってこよう。吉本と各社の契約がどうなっているかしらないが、タレント個人の引き起こした不祥事と言うことで、吉本が減免される方向でそれに対処しようという企業の論理が働いて、解雇を言い渡したとおもう。会見で吉本と紳助の契約について質問がなかったようなので、不明だが、「情に忍びないので、引退という紳助の言辞を否定しなかったが」後日、公然か隠然か解らないが、「解雇」が明確にされる可能性は大きい。

温情で「引退」という形にしてもらって、ホッとした表情と今後襲ってくるだろう様々な困難への不安の気持ちが、紳助の目の焦点を遠くに向かわせて居たように感じた。自分の傲慢さに足を掬われた島田紳助の騒動は、かなり引きずるだろう。
会見の段取りプロの僕からすると、嘘はすぐばれるので、絶対まずい。危機の会見は「仕方がなかった」戦略しかないんです。今回、4つも5つも嘘で塗りたくっているので、無惨だ。「引退が最高の罰則」などと横暴にほざいた瞬間、記者たちは「引く」のだ。尻軽な記者連はシンパから、叩く側に位置を変える。紳助さん、もう、会見でごまかせる方法はない。50億円ぐらいあるだろう全財産の90%位を福島県の原発事故対策費用に寄付し、残りを家族に託し、本気に出家して坊主になってその上で、本を書いてベストセラーを狙う。残された道そのぐらいだろう。だって、しばらくすると、不動産ビジネスマン紳助は大阪の繁華街の一等地のビルの取得など難しい仕事をこのB氏なる山口組幹部の名前を「使った」可能性が指摘されるだろうからだ。

■宮本常一の民俗・生活誌「忘れられた日本人」(岩波文庫)は、僕の子供のころ1950年代の日本の生活が思い起こされ、楽しくなる。ただし、東北の踏査がすくなく、関西がおおいので、ちょっと感じがちがうものもある。読み始めて思うのは僕が小学校1〜2年生の頃まで旧正月が存在していた事だ。仙台の市内でね。ややハイカラであった我が家は行っていなかったが、ご近所の庄屋さんの様な大きな農家では、同年二度目の正月を2月にやっていた。また文字を持たない伝承が意外に多いらしい。また、西日本は村全体の伝承がおおく、東日本はここの家のなかの伝承が多いとか。「講」とか「衆」などが多様に組み合わされて相互扶助がなされていた。さらに性が自由で解放されていたことなども、改めて驚かされる。ラストの網野義彦さんの解説が嬉しい。

日本の怪人というか、細菌学の権威であり、八カ国語も話せる翻訳者でもあって、何でもしってる博物誌学者でもある天才南方熊楠の波乱の生涯を水木しげるさんがマンガにしたのがこの「猫楠」(角川文庫)だ。我が輩は猫である風情に熊楠がかっていたであろう猫に人格を与え、猫を通して彼を描写しているから、何とも愉快に仕上がっている。猫語も出来る怪人ならではの設定だ。傑作のコミックスとして、是非、皆さんに薦めたいなあ。荒俣宏が解説で彼を「奇傑」と評していた。

《ブログご高覧感謝》
僕のブログの中でページビュー多いタイトルと日付け、紹介しておきます。ぜひ、ご高覧ください。

・2008年11月 赤塚不二夫先生のこと
・2009年1月 「ジャクリーヌ・ササールとかBB(べべ)とか」
・2009年5月 ゲバラの映画「モーターサイクルダイヤリーズ」
・     5月 カムイと名著「ベストアンドブライテスト」
・2009年10月「救うのは太陽だと思う」
・2009年12月「爆笑問題の失笑問題」・・・1日で1440のPV
・2010年1月 阿倍仲麻呂はハノイの知事である。
・2010年2月 MAC・MAC / 立松和平さんの死
・2010年3月 「サンデープロジェクトの打ち切り秘話」
・2010年12月 映画「ノルウエーの森」の失態
・2011年1月 「お笑いの山崎邦正のベトナムアルバイト」
・2011年3月 メイドインジャパンから「Made by JAPANESE」
          の時代認識へ
・2011年3月 「大震災をベトナム人は語る」
・2011年4月 「東京物語・荒野の7人・シンドラーのリスト」
・2011年5月 「人口8000万人時代」を構想する
これからも、よろしく、ご高覧ください。阿部正行