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2011年5月10日火曜日

ベトナム好き多いんだ、ニッポン!

またまた、『めざせ、サムライ。日本語SAMURAI!』の生原稿から持ってきた。今秋の出版時は全部ベトナム語になるよ。
第一章9項「 何故か、日本人はベトナムが大好きなのだ。本当だよ!」

韓国人への差別意識は、日本に隠然とあった。侵略者である軍国日本が作り出した風唱というかマハトの一つだ。でも、近年になりハンサムな韓国男優や美しい女優の活躍とかアイドルの連日の来日とか、サッカーのワールドカップ大会を日韓で共同開催したころから、若い人を中心に大分その差別意識は薄れた。現在はほとんど無くなったと言って良いかな。中国には、最近の経済の勢いもあるので、日本の側のやっかみも在るし、嫌悪(けんお)現象は、当面双方に続くだろう。黄砂に含まれる放射能物質問題など再燃する懸案も数多い。残念だがね。それと反対に日本人はベトナム人とか、ベトナム国に好意を持っている人が多い。実は僕、嫌いだという日本人に会ったことがないのだ。理由を整理しながら解き明かそう。今後付き合いがどんどん広く深くなる両国にとって、とても重要な事だ。
時間軸に沿って書いてみた。

1 やはりベトナム戦争(対アメリカ戦争)の悲惨さが挙げられる。これは、たいていの人の一致した見方だ。当時の日本人の多くは「アメリカはひどい。小さな国のベトナム人民はかわいそうだ。ベトナム、がんばれ」と考えていた。日本ではアメリカ大使館や、防衛庁、自民党本部に突入して、ベトナム戦争反対を意思表示した我々など大学生・青年労働者中心の戦闘的なグループは当時100万人ぐらいいた。その数は、全国の良心的で、反戦的な感情をもった広範な人々の一部に過ぎなかったのだが、実に多くの市民がベトナム人にシンパシーを感じていた。そして対アメリカ戦争後、“世界の帝国アメリカに唯一勝った国”として、その民族のがんばりと優秀性は、世界の人々に感銘を与えた。ベトナム戦争の最後の日、南ベトナムのサイゴンの大統領官邸に解放戦線と北ベトナム軍の戦車が突入し、ベランダから勇敢な兵士たちが解放戦線旗や北ベトナム旗を振っているニュース画面に引きつけられ、日本人の多くが涙して喜んだ。本当に多くの日本人が嬉しくて泣いたり、拍手したんだよ。静かに感動をかみしめていた人も実は多い。もちろん、反戦運動を激烈に戦っていた僕の目からも熱い涙が、止めどなく流れたのを覚えている。1975年4月30日のことであったね。

2 ベトナム戦争が終わった後も、インドシナ地域からのボートピープルで日本に流れ着いた人もたくさんいて、どの様なことが在ったのかは知らないが、日本人は心を痛めて、同情していた。
3 1980年代後半からのドイモイ政策がかなり日本でも話題になり、国家としての新しいあり方の評価が高まった。
4 1990年代初頭からの日本企業の投資やビジネスの本格開始、観光旅行などを通じて、ベトナム人は戦争に勝利する精神力だけでなく、誠実で、日本などとも共通する「東アジア的価値観」があり、さらに器用な民族であることが日本のマスコミでどんどん、知られることとなった。僕はPRやマーケティングが専門のプロデューサーであったので、1990年代当時の観光総局、外務省、投資計画省、交通運輸省、情報文化省の幹部との色々の多様な会議に基づいて、日本の新聞やテレビ(当時インターネットは、まだ始まったばかり)、雑誌を通じてベトナムの文化や現状を一生懸命に日本の国民に送り出す仕事をしていた事を感慨深く思い出す。我田引水(がでんいんすい)で言わせてもらうが、効果というか、成果はかなり在ったと思うぜ!

5 2000年代には、日本の大都市には、ベトナム料理レストランがあちこちにでき、若い女性だけでなく、ベトナムツアーには中高年の方たちも大量に増えた。企業や、農漁業関係の視察も増加した。それに従って、世論としてベトナム「ファン」が大量に発生した。2006年安倍首相の時代には「日越パートナー宣言」という友好条約も結んでいる。そして、2010年5月の、日本の新幹線や原発、水処理plantを日本政府がベトナム政府へ営業している今日まで続いているのだ。

6 大切な情報なので加えておくが、ベトナムが他国に比べて有利なことは実はこれだけではないのだ。実は日本のマスコミのジャーナリストにベトナムフアンが圧倒的に存在しているという事実だ。昔から日本と関係が深いタイやマンミャーのニュースはいつも、どうも最近は政治的混乱と軍事政権の横暴の情報ばかりだ。インドネシアやフィリピンのニュースは、日本に来て、がんばっている看護士さんたちのニュースばっかりで、政治も良いニュースがないね。それに比べて、朝日新聞(リベラル系:毎日800万部発行)、毎日新聞(中道・リベラル系:毎日400万部発行)、読売新聞(保守系:毎日1000万部発行)、日経新聞(中道系:毎日350万部発行)、産経新聞(民族派系:毎日200万部発行)などの新聞やテレビの報道分野の人々のとくに中堅やベテランのジャーナリストがベトナムのファンなのだ。ニュースの量が他のアジア諸国と違う(小さな事でもニュースをセレクトして掲載してくれる)、ニュースの扱いが好意的(ここが肝心)だと言い切って良い。

理由は実はハッキリしている。彼らが、中学校、高校、大学生の時に、ベトナム戦争(対アメリカ戦争)があり、青年として、少年少女として心を痛め、なんとか、ベトナムに勝ってもらいたい、戦後もぜひ、民族自決でがんばってもらいたいという、そのような暖かい心がある人たちが、ジャーナリストになることが多いし、さらにまた、実際に反戦運動を担った若者が大学を卒業して、ジャーナリストになった例が多いからだ。僕の周辺や先輩後輩には実に多い。もし、調査できれば、よりハッキリするだろう。考え方の右翼左翼に拘わらず、このマスコミ界にベトナム好きな人が多いというのが、他のアジア諸国には無いベトナムにとって最大の「武器」だろうと思われる。日本で有名な作家であり、東京の都知事である石原慎太郎は、いわば「反中国派」の急先鋒なのだが、大のベトナム好きでも有名なのさ。彼は「僕を作家として育ててくれたのはベトナムだ」とかつて産経新聞などに書いていた。だからだと思うのだが、都庁には、ベトナムとの友好の促進事業が割と多い。知っていたかい? (了)

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