2009年1月21日水曜日

オバマの才気

オバマの就任式を見た。で、いきなり似た風景を思い出した。多分16年前だと思う。クリントンの大統領就任式をやはり今頃、寒い朝布団の中で見た。僕が確か44歳でクリントンは45歳であった。何か新しい時代が始まる予感がして、ものすごく感動したことを覚えている。僕らの世代の時代が来たんだ。「ベトナム反戦世代」が大統領になる時代なのだと、しみじみ思った。

ついでにケネディ。あまのじゃくな僕は昔からケネディー一家にほとんど興味が湧かない。でも、なるほどと思うのは新教の国アメリカにおいて、アイルランド系かつカトリックという少数ながら大統領になったというカリスマ性だ。彼の親父はギャングとの怪しい関係が在ったわけだし、金持ちの女好きのボンボンに過ぎなかった彼が、悲劇に見舞われた事で偉大さが紡がれ、伝説となった。キューバ危機でさえ、ソ連のフルスチョフが国内事情で撤退したということであって、それ以上でもそれ以下でもないだろう。
あえて言えば、彼の唯一の功績はスピーチライターが書いた「あなたが国に何を求めるかでなく、あなたが国に何ができるか・・」というフレーズが世界中の記録フィルムにその残滓を残しただけだろうと思う。でも、司法長官であった弟のロバートはまだ、青年将校的な純粋さがあった。オリバー・ストーン監督の映画「J・F・K」ではこの二人とキング牧師の暗殺をアメリカ南部の軍事クーデターであると分析していたことを思い出す。あのマイケル・ムーア監督じゃあなくとも、いつも起きる学校での銃撃含め、完成された「民主国家」とはほど遠い、と毒突きたくなるね。オバマの暗殺も充分にありえるのが、まさにアメリカだ。

さて、オバマです。彼は一種の天才なのだろう。彼は自分のイデオロギー(階層や階級、民族が醸成する限定的な思想)を振り回さず、「夢をもった実務家」として立ち現れた。危機に現れるカリスマの一種なのであろう。ワイマール時代に弱体化したドイツの危機に登場したのがあのヒットラーである。オバマを同列に扱う気はさらさら無いが、彼も危機にしか現れない典型的ヒーローなのだろう。彼のその天分は、就任演説できわめてはっきり現れた。選挙運動期間はアジテーターであったのにも係わらず、世界の誰もが聞き入る就任演説では、”国民へのリアルな実務的問いかけ”にすらりと変えた。現実の困難を明示し、安易な期待を拒絶し、国民一人一人の責任を問い、一緒に歩む「旅:ジャーニー」にいざなった。一見地味になったが見事と言うほか無い。 このしなやかさが、彼一流の才気だろう。

オバマは戦争よりもっともっと困難な世界の経済の破綻の再構築の責務を負っている。世界の経済の、それも単なる回復じゃあないぜ、次の時代の世界構想の提出を期待されているんだ。新しい次世代の「資本主義」を打ち出さなくてはならない。グリーン・ニューディールはそれの第一弾だ。それは、既存の資本主義のカテゴリーを越えるシステムかも知れないのである。そのくらい、通常のシステムを軽々と越える思想と戦略でなくてはならないのだ。しかも同時にビッグスリー(GMなど3社)の支援、つまり、いままでぼんやりしてきた彼らの環境技術の開発強化を含む「普通の経済回復」もやらなくちゃあならないから大変なのだ。両構えですね。

このビッグ3の救援隊は本来トヨタとか、パナソニック(三洋電機)、ホンダあたりが、一番いい。日米関係に良好だけでなく、日本の車メーカーにとって大チャンスだ。言うまでも無く日本は省エネ技術と環境技術、電池技術は圧倒的に世界一だ。電気カー、水素カー、燃料電池カーの技術をアメリカに売るべきだ。また、環境技術における世界基準を日本が一気に獲得できるいい機会といえる。世界のトヨタの社会貢献パワーを見せてほしいものだ。麻生さんが、オバマにきちんと売り込めばいいのだが、今日21日、彼は「アメリカと日本はお互いに、世界1位、2位だし、(オバマ大統領の)考え方も私と似ているようので、一緒にやれそうだ・・」みたいな信じがたい事いってる。今後日本には内需の活性化というものはありえない。不遜な言い方すれば中国も含めた市場が内需になったのだ。いまや、日本人はこれといってほしい「物」はすでにない、物欲はすでに減退しています。少しはわかってほしい、政治家諸君!

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