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2011年4月28日木曜日

オイオイ、お金だけで良いのか?ベトナムの青年諸君!

ベトナム全土で今秋に発売予定の「君たち、日本語のサムライにならないか!」という著作の日本語原稿の一部です。対象はベトナムの高校生、大学生、若いビジネスマン、子供を日本に留学させたいと思っている親の層です。話し言葉で語っている形式。ネタがないので、また、引用してきた。

第二章10項 「金儲けだけでいいのか!生き甲斐(がい)と社会貢献について立ち止まって考えてみよう」  
企業の社会貢献について、もう少し具体的に伝えておきたい。
ハノイやホーチミン市のビル建設の現場や、橋や道路の建設の現場でブルドーザー(Bulldozer)とか、ショベルカー(油圧のパワーショベル:Excavator)とかユンボなどの大型の建設機械を見たことがあるでしょう?たいてい黄色い色が多い。神戸製鋼(コベルコ)とか、三菱重工、とか日立建機などの社名が機械に書かれているので知っている人も多いことだろう。それらの機械なくしては、現代の大きなビル建築や土木の仕事はできない。日本の優れた技術の代表分野の一つだ。
日本の中部にある山梨県(やまなしけん)に「山梨日立建機(ひたちけんき)」という日立の系列の会社がある。元々は日立の製造したブルドーザーとか、シャベルカー、ユンボ(yumbo)などの大型建設機械を販売している会社である。
この数年間、日本は大きな不況に見舞われており、大きなビル建設などや橋の建設などの公共工事が大きく減少した。従って建設機械業界は最悪な経済状況が続いている。しかし、雨宮清(あめみやきよし)社長が率(ひき)いるこの山梨日立建機は、創業以来の最高収益を上げているのである。

山梨日立建機は、社長の夢もあって以前から海外に建機を強力に販売してきた。オセアニア(Oceania)やアジアへ戦略的に20数年前から精力的に販売してきた実績があった。今から十数年前、雨宮社長はアジアの政治状況もよく解らなかったらしく、カンボジア(Cambodia)に進出を実行した。言うまでも無くカンボジアは内戦が長期に渡って続けられてきており、国土が荒廃(こうはい)していた。だから、雨宮社長は「カンボジアは、国中が荒廃している。復興には大型建機がたくさん必要だ。さあ、大儲(おおもうけ)けができるぞ」と張り切った。だが、よく街を見ると片足が無い子供たちが多いことに気がついた。話を聞くと地雷(じらい)の被害者だという。片足の少女を連れたある老婆が雨宮社長にこう言ったという。「あなた日本人でしょう。日本の技術で何とか私たちを助けて欲しい」と。この偶然(ぐうぜん)の言葉から、雨宮社長は「俺はこのカンボジアにいったい何をしに来たのだろう。」と考え一瞬(いっしゅん)のうちに今後の自分のやるべき事が解ったと言う。

それから社長は現地に何回も足を運び、数年後世界で初めての大型の「地雷除去機(じょきょき)」を完成させたのであった。世界には1億以上の数の地雷が埋められている。悪魔(あくま)の置き土産とも言われている。犠牲者(ぎせいしゃ)は子供と農作業している女性が多いのだ。この地雷の除去は現在までは作業員が一つ一つ探しては、爆破(ばくは)していた。だから、一人の作業員がどんなにがんばっても一日に数個しか除去できないのだ。これでは世界中から地雷を無くするには何百年とかかると計算されていた。ところがこの戦車のような機械は地雷原をどんどんキャタピラーで走行して、改造パワーシャベルを稼働させて、爆破を促進させるので、今までの何百倍のスピードで地雷を爆破除去することができる大発明なのだ。現在、世界中から注目され、カンボジアだけでなくアフリカや南米にまで輸出されている。

結果、この新しい事業は世界で誰も手がけていない分野であったため、大きな利潤(りじゅん)を山梨日立建機にもたらしたのだ。良いことをしてその結果大いに儲かった。理想的だね。でも、人類や地球に貢献する仕事をして、利潤をもたらすとこを「しかし、それは理想だけれど、普通はそうはできないよ・・無理さ」と頭から否定的に思わないで欲しい。本気に考えて高い志の仲間に協力してもらえれば、できないことはないのだ。その良い見本がこの雨宮社長の生き方さ。実は、個人の決意と生き方の問題なのだ。
この地雷除去機の研究開発は、お金がかかる。パワーシャベルを改造したこの地雷除去機は、1000度の熱や爆破に耐える特殊な開発と何年もの実験が必要なのだ。実は社内的にはこの「地雷除去機」事業だけではまだ、利益が出ていないのである。でも、企業として大きな利潤をこの不景気のさなかにあげて来たのは何故か。ここからが重要だぜ。

実は営業マンも事務員もすべての従業員全員が自分の会社に誇りを持ったことなのだ。ここが重要。ある従業員がテレビで語った。「時々、お客さんや仕事の関係者から、お宅はあの地雷除去の日立建機さんですね?」と聞れたり、声をかけられると言う。彼は「嬉しいですよ。やっぱー、誇りです。うれしいです」とニコッと笑った。この従業員のモチベーションが凄いのだ。世界で唯一の、それもあの非道な武器の地雷を除去する機械を作っているからだ。この開発後、従業員は誇りと自信に満ちあふれ、元々販売だけであった事業が開発、メンテナンスにも広がっていき、今まで無かった多様な開発の仕事も舞い込んでくるようになったのである。県外からの優秀な若者が研究開発部門に入りたいとやってくるようにもなった。

社員が夢を得たとき、企業は強くなる。使命感と目標を持った人間は強くなる。今後、日本はこういう道をめざす企業が増えるであろう。いま、日本では若サラリーマンや学生の一部はすでに、自分の得意技を社会に役立てるボランティア活動も広範囲に始められている。
ベトナムのサムライ諸君!土地の売買とか、株の売買だけに目を奪われないでくれ。
その大金は一時の金で終わるぜ。君たちの優秀な頭脳と肉体を10年後のベトナム、20年後のベトナムの国作りに向けて欲しい。ぜひ、日本に来たら、日本の市民活動、ボランティア活動(グランドワーク、プロボノなど)に携わっている日本の青年たちと交流して欲しい。さらに、社会貢献を考えている企業に就職することも考えて欲しい。本物のサムライとして、母国でかならずや、役に立つ。世界は、いな地球は今後急激に変容(へんよう)して行くからだ。
 *3月11日大震災とそれ以降の状況を加味して一部加筆予定。

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