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2010年9月13日月曜日

吉永小百合さんの朗読

■ハノイの夜明けだ。希望をもたらすような見事な朝焼けとはなって居らないけれど、だんだんと朝焼けが消え行き街並みが鮮やかに立ち上がってくる様は例えよう無く美しい。雑然とした喧噪の街ではあるが、流石フランスにかつて統治された街で、アジアの熱風とフランスの情緒が上手くお互いに練り込んだような雰囲気が醸し出されている。

■先日、NHKの深夜番組で吉永小百合さんの「原爆の詩の朗読」という番組を初めて見た。静謐な空間で吉永さんが語る、原爆の飛来下で起こった地獄絵の中での人びとの阿鼻叫喚と、恐ろしいほどに冷静な母たちの声。吉永さんは、余計な感情を交えずあくまで粛々と詩を形作る一文字一文字を目で追い、あの独特の鼻に少しかかった声でゆっくり語ってゆく。カメラマンも民放の若い撮影者と違い、彼女の不要なクローズアップはせず、精々バストサイズで落ち着いた画面を構成していた。吉永さん唯一人の舞台で、もう20年もご自分の仕事として、続けておられるという。意外と言っては失礼だけれど、優れて深いイベントであることが解った。

勿論、僕も吉永さんのフアンの一人として(サユリストほどではない位の)、この彼女の大切にしている朗読の会のことは、当然知っていた。ニュースでも何遍もちらりと見てきている。しかし、どうしても積極的にその朗読を見ようとはしてこなかった。ああいうイベントは僕、昔から苦手なのさ。労働組合的というか、共産党的というか、「ああいうたぐいは」として一括りにして「臭い」と感じ、イヤで無視してきた。吉永さんは赤胴鈴之助の時代(ラジオ)は別にして誰もが微笑む日活の青春スターとなった頃、中学生の僕の視線は吉永さんではなかった。ジャクリーヌ・ササール、クリスティーネ・カウフマン、クラウディア・カルディナーレ、ブリジッド・バルドー(B・B)、ミリー・パーキンスなんかのフアンであった。まだ、「映画芸術」誌、「映画評論」誌、「シナリオ」誌、「キネ旬」誌などの玄人向け専門雑誌の購読者になる前のことで、素人向けの写真の多い映画ファン雑誌「スクリーン」誌、「映画ファン」誌などの雑誌から猛烈に伝播してくる華やかで麗しい性的興奮を毎日収集しては友人たちに海の向こうからの別世界な情報を教えていた。

だから、いわゆる映画青年風情な大学生になったときは、吉永さんはもう全く視界に入っていなかった。だって、大隈講堂下の小講堂で、河津一彦などらと、フランスのクリス・マルケルの実験映画(題名忘れたなあ)の上映をやったり、「アルジェの戦い」をみんなで見て評論しあったり、ゴダールだ、ジガベルトフだ、アンドレ・パザンだの、ルイス・ブニュエルだとか、ジャン・コクトーとか、仲間とあーだ、こーだと、寝るのも惜しんで言い合っていた訳だし、大島渚や吉田喜重、今村昌平も論じ、鈴木清順を支援するデモで日活に押しかけたりしていた。だから、吉永さんが志向する原爆の詩を朗読する崇高な世界など、ほとんど視野の外だったのだろうと思う。所詮大人は敵でしか無く、知識や論理の絶対的自信を持って映画とか前衛の芸術を語り反抗していた20才前後という時期は、全身から全力発光する何かの呪祭であったのだろうか。今となってはまるで幻だねえ。吉永さんは青春期から、あの優しい真っ正面からの眼差しをいまも続けている。

■またまた、ネタを書く時間がなく、ベトナム語で出版する準備著作の一部からコピーした。
 『採用されるポイントは、はっきりしている』
   日本企業の学生評価の4ポイント
4−1−1現在の日本語能力の高さと今後の日本語伸長のポテンシャル
4−1−2高校と大学の数学、物理、化学、生物と英語の基礎的学力
4−1−3精神力、性格(積極性、明るさ、協調性:業務に適性があるかどうか)
4−1−4面接当日の戦略と戦術、態度、話し方、印象

上記は理工系大卒者向けの面接の日本企業の一般的な基準である。当校が今までの日本企業の採用活動に協力しながら、得た情報と、有力企業のトップから取材して得た情報をまとめた物である。従って、最新の日本企業の考え方がリアルに現れている。しかし、業界や分野、また、企業によっても採用の考え方は微妙に違いがあることは、当然、承知してほしい。
上記1に在るように、日本語の実力は高ければ高い方が良い。言うまでも無いね。でも、現状のレベルだけではなく、「今後の日本語上達の可能性」も、実は採点ポイントが高いんだよ。つまり、日本に来てからの生活態度が、どうなりそうか。そこを見ている。積極的に社内で日本人の友人を作ったり、中級以上の日本語学校に通ったりしてゆく勉強熱心な人物かどうか、企業は見定めようとする。将来の可能性も評価されると言うことだ。

2は、実は日本企業の多くが一番採点の判定の対象としているポイントだ。つまり、日本語や、新しい技術の知識は今から、何とか猛烈に学習すれば、一定のレベルに達するだろう。しかし、とくに高校時代の数学や物理の基礎学問は、エンジニアにとっての知識の基礎中の基礎の知識だ。この基礎知識が薄ければその人はエンジニアとして、大きく成長することは期待できない。だから、面接時に高校と大学の数学や物理の試験を行う企業も時々ある。この2は、日本企業に入社するには重要なポイントだから、高校や大学の基礎学問を、もう一回時間を作って復習する必要がある。文化系の学生も自分の基礎学問を復習した方が良い。基礎知識がしっかりしていない人間は将来能力が伸びないことが多いからだ。また、同時に英語の能力は必須である。日本では、会話能力は通常は使わないが、英語で書かれた資料やマニュアルも多いからだ。また、日本独特の「カタカナ英語」という使われ方もひんぱんに多いので、英語は、少なくともTOEIC600点ぐらいは欲しい。当校への入学時にも英語の基礎テストを実施している。

3は、性格や精神の強さ、周囲との協調性などさ。その企業の業務との適性を探るわけだ。日本企業の土壌には、「天才はいらない」という面が有る。一人だけ優れていても良い発明や開発ができない。むしろ、周囲と調和できずに人間関係がこわれ、組織的なことができなくなる、と考える傾向が強い。特に会社の幹部ほどそういう傾向が強い。つまり、一人の天才より、優秀な人や努力する人が例えば10人いた方が会社にとってプラスと考えるのだ。つまり、みんなと仲良く、協力し合って仕事ができるかが、日本企業の採用に関する際のポイントなのだ。もちろん、新しい小さな企業と、10年20年50年と歴史がある会社では発想が違うよ。小さな企業は革命的なブレークスルーを望むので、採用のポイントは違ってくるね。ただ共通することは、明るくて積極的な資質だね。仕事も積極的、新しい情報や技術の勉強も積極的、さらに明るく快活に積極的に遊ぶ人が好まれる。暗い感じの人や、引っ込みじゃんの人は、面接で絶対えらばれないよ。日本人は特に中高年の人は明るくてがんばる人が好きなのさ。次の4-2項を見れば、よりはっきりするだろう。

4の事は、当日の君の戦略と戦術の立て方と、その日の体調によって、大きく違ってくるということだ。一番大事なことは、自分の能力を具体的に提示することだ。例えば、卒業論文を持ってきて見せる。ベトナム語だから、日本人は読めないさ、だけれども、“持ってきて、一生懸命プレゼンしている”ことが、重要なのさ。他の人が余りやらないそのアイディアと熱意が評価される。何かチームでプロジェクトを行ったときの写真とかもGOODだね。工夫せよ。具体的に自分の能力や性格が伝わることを工夫せよ。さらに、相手の企業のWEB SITEは、当然事前に見ているはずだが、当日余裕(よゆう)ある態度をみせるためにも、前日はもう一回WEBを確認する必要がある。自分はその会社のどの事業に相応しいか、あるいは担当したいか、明確に言えるようでなければならない。相手の企業のことを詳しく面接時に語れば、「彼は、勉強家だね、事前に努力している。入社したい意志が強い」と評価される。入社したい意志や熱意に相手は喜ぶ。高評価さ。当たり前のことだが、実はきちんとやれていない人が現実は多いんだ。ここ、忘れないでね。だから、この4もとても大事だぜ。

■大佛次郎さんの「天皇の世紀」第二巻もまだ200p。読み方の進みが遅いが、井伊大老が大獄の当日に歩んでいくワクワクさせる項に差し掛かっている。なにせ引用の多くの資料が全部「候文」だから、読み込みに結構時間がかかるね。同時に読んでいるゲバラの日記は以前読んだ原書房の三好徹翻訳でなく、朝日新聞刊の1968年版だ。巻頭のカストロのチェへの賛辞文の格調の高さは見事なものである。演説の天才の世界の論理的把握とイメージ構成の妙に改めて驚かされる。
じゃあまたね、諸君。9月27日

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