2009年4月19日日曜日

温いミネラルウオータも良し、節電の国 / 映画「非情城市」「トリコロール赤の愛」ほか

昨日と今日「武士の日本語」と「ベトナム人と組むメリットを知らない日本人」という割りに軽い本を続けて読んだ。先の「武士・・」は「ちょこざいな」とか「片腹いたい」「ご新造さん」「鉄火」とか時代劇でお馴染みの言葉が並んだ辞典のような本。痛快な言葉が多くセレクトされているのだろうか、結構気分良くなる本であった。言うまでもなく武士は低い身分からの出自をもってるので、京都の公家言葉と並列してくれればもっと文化の違いやニュアンスの差異を楽しめたと思う。

「ベトナムと組む・」は外人部隊で有名な柘植久慶氏の紀行文というか、雑記である。彼は慶応の学生のときからフランスの外人部隊に入りアフリカで転戦し、ベトナムやラオスでも反共産軍で戦闘を行っていた稀有の日本人だ。ベトナムでは、南ベトナムの政府軍にアメリカ兵として従軍していたようだ。その彼の、平和になったベトナムののんびり紀行なのである。石原慎太郎もそうだが、「右」のお歴々の”中国嫌いのベトナム愛好家”は多い。柘植氏のサイゴン、フエ、ハノイでの人々、生活、労働、ビジネス、食事、汚職、軍隊などが、大好きの視点で語られている。僕と思想的に全く違う御仁のモノの見方が面白い。戦争の猛者も好々爺になったということかもしれない。

柘植氏の本にはなかったが、ボトルのぬるいミネラルウオーターについて、書いておこう。ベトナムで会議をするとお水がコップつきボトルで出て来ることが多い。とくに、官庁での会議に多い。16年前、はせがわさんのプロジェクトでベトナムに来たばかりの事は、それに慣れずぬるさに閉口した、というより、お客にはお茶でなくて水ならキンキンに冷やしたものであるべきだろうといつも思いうんざりしていたものである。お水だけでなく、ビールもそうなのだ。温いのである。最近、ハノイあたりでも幾分冷たいビールを出せる店が増えた印象あるが、ベトナム人からすると、「冷たいものは体に悪いのに、どうして日本人は物凄く冷たいビールを飲むんだろう」と不思議だろうと思う。日本ではよくあるが、冷蔵庫で冷やした氷のようなジョッキにビール容れて飲むのは、ほとんど狂気にみえるだろうなあ。それはビールの味わい無視だし、氷を飲んだ状態だから、舌も喉も半殺し状態。通のすることじゃあ無い。ドイツとかべルギーとかの本場では5度ぐらいの常温に近い温度で楽しんでいるものね。

ベトナムは、ベトナム戦争の後、中国やカンボジアとも戦火を交えた。ベトナム戦争が終わって30数年経ているが、すっかり終わって「ドイモイ」政策に転じて、まだ20年。だから、Vuongなども高校生の頃まで食事にも事欠いたと言っている。だからそのころ放映されたNHK「おしん」はこの国で大ヒットを記録した。放映の時間には道路という道路の自転車やオートバイがいっせいに消えテレビ前に殺到していたと神話化されている。つまり、つまり、温いミネラルやビールのことだが、経済的に豊かになった今でも貧しい時代を想い節電は常識で、何時来るかわからない客のために、冷蔵庫の電気を無造作につけっぱなしにしたくないのだ。一昨年のことだが、僕の前居た家で僕が電気を一部つけっぱなしで(防犯のつもりで)家を出ようとしたら、たまたま通りかかったおばさんが「電気点いているよ、消したら・・」と僕に注意したものだ。

中流のホテルの客室の冷蔵庫だってそうさ。お客が来てはじめてスイッチオン。それも自分でON。停電は今でも結構あるし、電力事情は僕の小学校時代と同類かな。今でも毎月1〜2回はある。彼らには地球に優しいとかという日本的現代エコ意識ではないんだが、無駄はしたくない意識は電気だけじゃあなく、料理や食事など生活や生産活動の中にも底流として強く持っている。かつての僕らが親や田舎のおばあちゃんに教えられた”もったいない”が、日本とベトナムに通底しているのは間違いない。

17~18年ぶりに台湾映画ホウ・シャオシェン監督の「非情城市」を見た。記憶によると日本でのアジア映画のブームの兆しを飾った作品ではなかったか。当時、大抵の読者と同じでアジアへの関心はまだうすく、映画はやはり欧米でなければならなかった。そんな僕をも覚醒させる作品であった。舞台は戦後直後台湾。庶民の中では日本語がまだかなり流通しており、見ている僕には、日本の犯罪というか、言語や氏名、文化まで陵辱する戦争の残滓が痛烈に迫ってくる。映画の主題は前からいた中国系と、後から来た国民党系の権力闘争の中に巻きこまれた兄弟の生死と一家を描く。改めて見て、ルイ・マル監督の「ボレロ」を想起した。「ボレロ」は戦争・家族・人生を描いた名作中の名作である。市民や庶民にとって戦争はまったくあずかり知らないところで勝手に勃発し、夫や親を殺し家族を蹂躙し絆を解体させる。

その他、今週は・・・
シャロン・ストーンの「氷の微笑2」不評をきいていたが、はじめて見て、まあ、成熟美女の魔力が奔出していて、僕は面白かった。

「彼女は最高」タクシー運転手の兄と金融で儲けた弟の鞘当。良くなる話。監督名忘れた。

「ソフィー・マルソーの愛人」なんとなく僕好みのソフィー物。倦怠と不倫の通俗もの。

「第三の男」キャロル・リードの映画史的作品。「市民ケーン」もそうだった、そういう作品には必ずオーソン・ウエルズが出てるね。天才の一人なのだろう。見たのは何回目だか忘れたが、映像の面白さと言うか「凝り性さ」と、音楽の際だった美しさは理解するが、映画としての価値は言われるほどではない。

「クリミナル」おもしろい。アルゼンチンの映画のリメークらしいが、詐欺師たちの生態とどんでん返しが、かなり良い。必見。

「リダクテッド」デ・パルマのイラク戦争をドキュメント風に演出したドラマ。あたらしい作意は感じるが退屈。半分強で止めた。

「トリコロール赤の愛」三部作の一つで大分前話題であったが、始めはかなり意味深なシークエンス多いが、なんだか途中から俗っぽく変身。まったくつまらん。

「ゲッタウエイ」サム・ペキンパー監督。スティーブ・マックイーンとアリ・マッグロー主演なのだが、もう一つ中途半端。見残していた作品であったので、けっこう落胆。

「ワイルド・バンチ特別編」ペキンパーの代表作品だ。多分学生かそれが終わった頃、つまり37〜38年前に見た印象そのままだ。撃ち合いシーンの有名さが際だっているが、全体の構成やアナーキーな気分など当時の絶賛ぶりが蘇ってくる名品である。

「ロスト・イン・トランスレーション」ソフィア・コッポラ監督。言わずと知れたコッポラの多才な娘だ。サントリーのCM撮影できたハリウッド男の日本体験記がベースで、歌手でプレティーな何とか(NYで活躍の)と東京で淡い恋に。西洋人が撮るとどうして日本人はあんなに無個性でちゃかちゃかするのだろうか。苦笑するも、けっこういける作品。

「レイ」レイチャールズの一代記だ。凄い。離別があろうが対立があろうが、音楽が湯水の如くに湧き出す天才の生涯のすさまじさが率直に表現されている。「心のジョージア」「愛さずにはいられない」とか、これもかと思うほど数々の名曲がオンパレードされる。最高傑作だね。

「隠された記憶」つまんないフランス映画、というか良くわからない。

「クラッシュ」監督名は知らないが、傑作。ある事故から進展して見えてくるアメリカの世相と人のつながりが紡ぎ合う不思議さを上手く演出している。アカデミー作品賞らしい。

「ママと娼婦」まあ、フランスらしい饒舌な映画。3時間40分だぜ、参った。貧乏ナンパ師と愛人たちの日常とめくるめく語られるセックス談義。ゴダールが見付けてきて「最後のヌーベルバーグ」と言ったそうだ。けして冗長じゃあないが、暇な人向けといえる。

・・見たDVD映画を全部書こうとすると結構つかれる。次から、感動作品だけにしようかな。

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