(* 写真をワンクリックすると大きくなります)
僕が教えているハノイ貿易大学日本プロジェクト「日本社会の基本」教程で使っている教科書をかいつまんで紹介してみる。平易でわかりやすいことが、教材では肝心である。時々使うもの含めると20冊ぐらいある。この写真以外でも、「最新業界地図」(成美堂刊)、池田昌子著「14才からの哲学」(トランスビュー刊)、「論理的な考え方」(中経出版刊)、「高校生のための東大授業ライブ 熱血編」「純情編」、「資格全ガイド」(高橋書店刊)など、大分使ったし、今回の第二期でも結構使うことになると思う。その中で、一番世話になっているのが写真の「入社一年目の教科書」だろう。著者はライフネット生命という保険会社の創設副社長のようで、買った時分はまるで、そんなことは知らなかったが、ネーミングと表紙のデザイン、目次のレイアウト、見出しのうまさで「良い本だ」と即断して、去年の夏に買い、すぐにJAC(当教程:クラスの俗名)で使い始めた。学生たちが学ぶべき要素の多くが入っていた。
ハノイ貿易大学の女子学生たちは優秀だよ。この「入社一年目の教科書」の各項の、たとえば第17項「情報は原点に当たれ」約2000字のコンテンツを300字程度に要約させると、全体の趣旨を大きく掴み、その上で要点だけ2〜3を箇条書きに書いてキチンとまとめてくれる達人が結構多いんだ。要約は手書きで書かせている。この本は今のところ主には宿題で活用させてもらっている。僕は要約作文の訓練は論理的な考え方の構築上、大切だと思っているし、第一期での成果もはっきりしているからね。
2年ほど前になくなられた慶応の教授の池田さんの「14才からの哲学」はすばらしい本ですね。平易で美しい文章の極みでしょう。
さて、僕は寺子屋の教授法に幾つかの教育的な真理があると考えていて、その中の音読、腹から読み上げる音読を特に重要視しているので、今度、下記の写真の乙武洋匡著「ありがとう3組」を音読で使おうと思っている。
乙武さんは言わずとしれた「五体不満足」を早稲田時代に書き、スポーツライターになり、その後新宿区教育委員会職員、杉並区第四小学校教諭になった僕の尊敬するスーパーな若者だ。といっても、もう36才らしい。この本は彼の教員時代に体験し、現在の子供たちの心を見つめた彼の小説です。ほとんどドキュメントに近いのだろうけれど、相手は子供だし、小説の形を借りたのだと思う。この本の文学的な価値は一様にいえないけれど、彼と彼のクラス員28名が展開する1年間には、ベトナムの青年、ベトナムの女子学生たちにとって学ぶことが余りあるほど詰まっています。
ベトナムの町ではなかなか障害者や車いすの姿は見受けられない、理由は幾つか聞いているが正確かどうか不明なのでここでは書かない。両足の膝下が無く、両手の肘以下がない乙武さんのなんと自由なことか。なんと縦横無尽に生き生きしていることか。そういう障害者が、普通学校にいき、早稲田にはいり、教員までなっている日本という国を知ってほしいんだ。さらに、ここには日本の教育(教員)事情、家庭生活、受験、親との確執、反抗、友情、敬意と愛などぜひ、学んでほしいことが満載なのだ。その上、難しい漢字にはルビが振ってあるというんだから、使わないでは居られない訳なのです。
■ご参考 当クラスのカリキュラムです。
「3」は、学生のレベルや興味によって変更するので、詳細は決めていない。また、「金融・税務・礼儀作法・英語補正」など僕の苦手な部分は、ハノイのプロの日本人の友人たちにお願いしている。
第二期 カリキュラム概要
1 日本企業理解の基礎
A■日本企業社会の基礎知識
1日本の産業構造
2日本の企業史 飛鳥(あすか)時代
3戦後の産業 ソニー ホンダ トヨタ 松下
4現代の日本の産業と今後 製造業 サービス業 流通業 小売り他
5ベンチャー企業 ニュービジネス
6農業の再興 東北の復興
7日本とベトナムの経済関係
B■会社と仕事の概要
1マーケティング 営業
2総務 法務 税務 ISO 知的財産
3マネージメント 人事
4各産業界・分野の解説
5株式会社 財団法人 NPO
6世界の中の日本のものづくりと現状
C■ ビジネスマインド
1企業に就職し社員になるということ
2働いて給与をもらう厳しさ
3プロとは何か
4仕事のレベルアップと学習(仕事内容・日本語・技術)
5会社の中の仕事上での目標と計画
6日本の労働習慣、VNとフランスの習慣
7営業職の重要性
D■ 組織の一員としてのルールと常識
1社内規則・ルールの基本と厳守の心得
2社員教育、キャリアステップ、自己実現、組織の中の個人
3企業秘密、コンプライアンス、CSR活動、環境活動など
4日本語や技術、法律や当企業の分野の高度知識のキャリアアップ(習得)について
5報連相 整理整頓など社内の常識
6挨拶 礼儀作法 日本人に好かれる対応
7問題解決への思考
E■ 企業の求める人材
1日本人学生の就活の実態
2留学生の就活の実態
3企業は外国人に何をもとめているか。
4企業は君に何を求めようとしているか。
5雇用形態のいろいろ
F■「勝つ面接」の特訓
1各人の学部学科で学んだ「知識と技能」の表現 カウンセリング及びスキルコーチ
ング
2面接のシミュレーション、 実践と訓練
2 日本語によるスピーチ、ディベート、ディスカッションの訓練
と体験
1論理的な思考と発言・音読訓練
2話題つくり
3表現のいろいろ
4表情、姿勢、仕草
5英語の発音補正も
*
カタカナ外来語、職場のカタカナ用語の暗記
3 日本の社会を理解するための基本
*詳細は、第一期に準じるが、進捗させながら調整する。
・ 日本の歴史、日本の地理、世界地理、
・
日本の現代社会の現状と課題、社会現象
・
日本の社会のシステム
・ 日本的価値観と心のあり方、 3月11日以降
・ 礼儀作法、挨拶の基本と実践
・
生活の中の文化とルール 以上。
《ブログご高覧を感謝いたします》
僕のブログの中でアクセスとページビューが多いタイトルと日付け、紹介致します。
ぜひ、ご高覧ください。多いのは一日1400名の閲覧もありました。
・2008年11月 赤塚不二夫先生のこと
・2009年1月 「ジャクリーヌ・ササールとかBB(べべ)とか」
・2009年5月 ゲバラの映画「モーターサイクルダイヤリーズ」
・ 5月 カムイと名著「ベストアンドブライテスト」
・2009年9月 水虫には歯磨き「つぶ塩」が効く?!
・2009年10月「救うのは太陽だと思う」
・2009年12月「爆笑問題の失笑問題」・・・・・1日で1440のPV
・2010年1月 阿倍仲麻呂はハノイの知事である。
・2010年2月 MAC・MAC / 立松和平さんの死。
・2010年3月 「サンデープロジェクトの打ち切り秘話」
・2010年4月 リクルートの罪 / 金のTSUBAKIの女優たち
・2010年12月 映画「ノルウエーの森」の失態
・2011年1月 「お笑いの山崎邦正のベトナムアルバイト」
・2011年3月 メイドインジャパンから「Made by JAPANESE」の時代認識へ
・ 3月 「大震災をベトナム人は語る」
・2011年4月 映画「東京物語・荒野の7人・シンドラーのリストほか」
・2011年5月 復興構想に必要な「人口8000万人時代の国づくり」発想
・2011年5月 梅原猛先生が「文明災」について語った。
・2011年6月 消滅している東北弁
・2011年7月 なぎさホテルという哀愁
・ 7月 辺見庸氏が3・11とその後にある本質を語った。
・2011年10月 石巻の大川小学校に行った
・2011年11月 石巻・大川小学校のひまわりのお母さんたち
・2011年12月 ハノイ貿易大学日本プロジェクトの学生たちのブログができたよ。
・2012年 1月 成田空港の不幸と幸せ伝える人
・2012月 1月 お正月は竹内まりあの「人生の扉」だね
・2012月 3月 ベトナムの床屋さんの良い感じ
・2012月 3月 ベトナムの青年に進んでほしい「経済以外の分野」
・2012年 4月 ベトナムで石巻・大川小学校のひまわりの芽がでたよ
・2012年 5月 ベトナム国会のとんでもVAIO
・2012年 5月 猫の流転譚 ハノイ漂着
・2012年 6月 TBS「たけしと安住のニュースキャスター」にVCI登場
・2012年 7月 日本の会計士さんたちが当校に大勢みえた
・2012年 9月 第二期のハノイ貿易大学のプロジェクトが始まった
・2012年10月 経済学者中谷巌先生が当校で学生と交流
これからも、よろしく、ご高覧ください。阿部正行
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